うつ病について: うつ病と双極性障害

うつ病と双極性障害

・うつ病のうつと双極性障害のうつは、区別できない。
・同じうつのようだが、治療は異なる。
・うつ病のうつなのか双極性障害(躁うつ病)のうつなのか、見分けないといけない。


「うつ状態とうつ病の診断」の項目で少し触れましたが、双極性障害という病気があります。
双極性障害は、躁(あるいは軽躁)の状態とうつの状態を繰り返す病気です。
その時点の症状だけからは、うつ病のうつ状態と双極性障害のうつ状態を、区別することはできません。 たとえ双極性障害であっても、うつ状態で受診し、これまでの躁状態(あるいは軽躁状態)の存在がわからなければ、うつ病と診断するでしょう。また、それまではうつ状態しかなかったものの、その後の治療経過で躁状態(あるいは軽躁状態)が出現し、双極性障害であることが判明することもあります。
うつ病のうつ状態と双極性障害のうつ状態では、同じようなうつ状態でも治療法が全く異なります。
うつ病の治療では、抗うつ薬を使用します。一方で、双極性障害のうつ状態では、抗うつ薬を使用しても効果がなく、病状の悪化(躁状態の出現や病相の繰り返し)を招く可能性があります。
その時の症状だけからは、双極性障害のうつ状態とうつ病のうつ状態を区別することはできないのですが、患者さんやご家族からこれまでの病歴を丹念に聴き、この2つを見分ける(予測する)必要があります。